京のミステリースポット No.006
鬼を退治した渡辺綱寄進の石燈篭
場所: 北野天満宮(上京区馬喰町)境内
レポート: 加納進
ミステリー:

鎌倉時代後期頃の作で重要美術品、高さ約2メートル。長年の風雪に耐え抜いてきた摩滅の著しいこの老石燈篭は、古風で風雅であるところから茶人の間で「北野型」「白太夫型」と呼ばれ愛好されています。この石燈篭には次のような伝説があります。

源頼光四天王の一人、渡辺綱が警護の任務を終え、自邸に帰る途中、一条戻橋に差し掛かかりました。夜更けだというのに橋の欄干の裾に佇む一人の女がいました。綱はその女に向って、「夜道は物騒だから送って進ぜよう」と声を掛けました。女は「それならばお言葉に甘えて御送り下さいませ」と立ち上がり、橋を渡ろうとしとき、綱がふと川面を見れば、雲間から月明かりに写し出されたのは美しい女の顔ではなく身の毛もよだつ恐ろしい鬼女の形相でした。さては、近頃、都に出没する鬼はこの女であったのかと気づくと、鬼女もまた正体を見破られたことを察知するや、直ぐさま綱の襟髪を掴んで夜空の虚空に高々と舞いあがりました。綱は、咄嗟に腰の太刀を抜くと素早く鬼女の腕を切り落とし、綱は身体もろとも北野天満宮の廻廊の屋根を突き破り落下しました。綱は、我が身に降りかかった不意の災難にもかかわらず無事であったのは、北野天神の加護の賜物であることを深謝し、その御礼に、この石燈篭を寄進したものとのいい伝えがあります。

この伝説は、『源平盛衰記』の「剣の巻」などをもとに明治の初め、河竹黙阿弥が歌舞伎のために、『戻橋』と題して書きあげ、上演したところ大好評を博しました。また、宝物殿に納められている『鬼切丸』は、渡辺綱が鬼の腕を切り落とした太刀であるとの伝説もあります。平安時代の作で、銘は安綱太刀。

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